
高血圧学会による「高血圧治療ガイドライン2019」は改訂され、「高血圧管理・治療ガイドライン2025」が作成されました。学術的・臨床的に意義深いガイドラインと言われています。わが国の高血圧者は4300万人とされ、良好にコントロールされているのは27%程度と言われています。改めて、家庭血圧の重要性を言われています。
分類 |
診察室血圧(mmHg) |
家庭血圧(mmHg) |
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| 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |||
| 正常血圧 | <120 | かつ | <80 | <115 | かつ | <75 |
| 正常高値血圧 | 120~129 | かつ | <80 | 115~124 | かつ | <75 |
| 高値血圧 | 130~139 | かつ/または | 80~89 | 125~134 | かつ/または | 75~84 |
| Ⅰ度高血圧 | 140~159 | かつ/または | 90~99 | 135~144 | かつ/または | 85~89 |
| Ⅱ度高血圧 | 160~179 | かつ/または | 100~109 | 145~159 | かつ/または | 90~99 |
| Ⅲ度高血圧 | ≧180 | かつ/または | ≧100 | ≧160 | かつ/または | ≧100 |
| (独立性)収縮期高血圧 | ≧140 | かつ | <90 | ≧135 | かつ | <85 |
それぞれの危険因子
早朝高血圧
・アルコール
・寒冷
・血管スティフネスの増大
昼間高血圧
・精神的あるいは身体的ストレス
・身体活動度が高い
夜間高血圧
・心不全、慢性腎臓病
・睡眠時無呼吸症候群
・抑うつ状態
・家庭血圧<125/75mmHg
JSH2025では、原則的に130/80mmHg未満を診察室血圧の降圧目標とする。
ただし、めまい・ふらつき・立ちくらみ・倦怠感・失神などの症候性低血圧、起立性低血圧、急性腎障害、高カリウム血症などの電解質異常といった有害事象の発症に注意しながら降圧を進める。
収縮期血圧120mmHg未満に降圧された場合には、過降圧による有害事象出現の可能性に注意する。
高血圧患者で収縮期血圧120mmHg未満に降圧した場合、脳卒中等の増加が認められている。
過降圧は、到達血圧のレベルだけではなく、降圧の速度や幅が大きくなると起こりやすくなり、個人の病態によっても異なるので個別に判断する。
高血圧は遺伝的素因と環境因子が関係する。
環境因子に関係する生活習慣の改善が必要である。
生活習慣の改善により高血圧の予防及び降圧が期待できる。
特に脂質異常症、糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症など生活習慣の改善が重要です。
生活習慣の改善による降圧効果を維持するには、医師と患者の双方が長期的に努力を継続することが必要である。
主な降圧薬は、Ca拮抗薬、RA系阻害薬(ARB、ACE阻害薬)、サイアザイド系利尿薬(含サイアザイド類似薬)、β遮断薬に加えて、アンギオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)、MR拮抗薬等がある。
投与した降圧薬の降圧効果が小さい場合や副作用が問題の場合は、作用機序が異なる他の降圧薬に変更する。
これまで、食塩の過剰摂取が血圧上昇と関連することや、食塩制限(減塩)による降圧や脳心血管発症抑制効果について証明されている。食塩制限の目標値は欧米の大規模介入研究の結果を基に、6g/日未満とする。
なお、高齢者にも減塩は有効であるが、低栄養やフレイルに陥らないよう柔軟に指導する。
K摂取量の目標を達成するには、①野菜を1日350g、②果物を1日200g、③低脂肪乳、緑茶を組み合わせて摂取する。
DASH食や地中海食も勧められる。飽和脂肪酸を抑え、肉類よりも魚を主としている。
豆類を摂る。間食をナッツ類にするのが良い。
BMIが25以上を肥満とする。男性の30~69歳では30%以上が肥満者である。
肥満者は3%以上の減量で有意な降圧を認めるため、第1に包括的生活習慣の改善により減量を図る。
一方、食事療法による体重減少での降圧効果は一時的である。
肥満には内臓脂肪蓄積型と皮下脂肪蓄積型がある。内臓脂肪は動脈硬化の進展や血栓、寒冷症を来す。
肥満は糖、脂質、尿酸の代謝異常、脂肪肝、肝がん、月経異常、睡眠時無呼吸症候群、整形外科疾患および高血圧と関連する。
運動の種類は、ウォーキング等の有酸素運動およびスクワット運動や腕立て伏せなどのレジスタンス運動、また、両者を組み合わせた複合運動を選択して行う。
脳出血は飲酒量が多いと増加するが、心筋梗塞・脳梗塞は適量飲んだ方がリスクが下がるという報告もある。
エタノール20~30mlは、日本酒1合、ビール中瓶1本、ワイン2杯位に相当する。
喫煙は高血圧、心血管病、脳卒中などと関連する。禁煙による脳心血管病発症の抑制も証明されている。
冬季に血圧が上昇する。また血圧の変動も大きくなり、入浴時の死亡リスクが高くなる。
室内温度が低くなると、特に高齢者で入浴後の血圧上昇が大きい。脱衣所の気温調整が必要である。
また、特に高齢男性で入浴後の血圧と心拍数が関連して上昇することが知られている。
日本人男性で7時間程度の睡眠に比べて、6時間未満や8時間以上の睡眠では、より高い高血圧発症率が観察されている。
成人に6時間以上の睡眠が推奨されている。
高齢者では健康リスクの観点から、床上時間が8時間以上にならないことも推奨されている。
便秘が心血管イベントと関連している。
いきむことで血圧上昇し、心血管イベントを起こすことがある。
心理的、社会的ストレスによって高血圧発症リスクが2倍以上に高まる。